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Story of PAXMAN

Richard Merewether

Robert Paxman

1985年に亡くなるまで戦後のパックスマンホルンの設計を担当したリチャ ード・メルウェザーと名工ロバート・パックスマン。この優れた二人のコンビは世界のホルン奏者のあいだで伝説的な存在だった。
イギリスのホルンメーカー、パックスマン社は、世界のホルンメーカーの中でも独自の地歩を築いてきた。
創業は今世紀のはじめ、ハリー・パックスマンによるとされているが、戦後の1945年ごろから有能な技術者だったロバート・パックスマンがホルンを本格的に制作しだした。

当時の年産は約12本。デニス・ブレインと親交が深かったロバートは、ブレインの求めに応じて、彼がそれまで使っていた楽器のコピーを作ったりしている。 最初、パックスマンはドイツタイプのホルンを制作していた。
50年代に入ると、ロバートはもちまえの好奇心と研究心を発揮しだす。ちょうど同じ時期、ロンドンに一人のホルン奏者がオーストラリアから渡ってきた。
シドニー交響楽団でホルンを吹いていたリチャード・メルウェザーである。彼はイギリスでフリーランスの活動を行いながら、とくにデスカントホルンに興味を抱き、一人で研究していた。デスカントホルン自体は、20世紀中頃からいろいろ試作されていたが、メルウェザーを満足させるものはなく、彼は新しいタイプのデスカントホルンを図面に書いてみてはいろいろに思いを巡らせていた。そんなメルウェザーが、ある日、ロバート・パックスマンの門を叩いたのである。当時、高音域用ホルン開発の要望は年々高まっており、デニス・ブレインもデスカントホルンには大きな興味をもっていたという。

ブレインの刺激もあってロバートはメルウェザーと一緒にデスカントホルンの開発に没頭するようになる。
二人は当時のほとんどのデスカントホルンはテーパー(管)に欠陥があることを見抜き、1959年新しい設計のもとに最初のシングルFデスカントホルンを制作した(すでにブレインはこの世にいなかった)。この楽器はプレイヤーたちから高く評価され、この成功に気をよくした二人は同年、F/High F、続いてBb/High Fのデスカントダブルホルンを開発した。

大英帝国勲章MBEを手にするロバート・パックスマン

パックスマンの開発力はとどまるところを知らず、さらにデスカントホルン開発からわずか7年後に世界で初めてトリプルホルンの開発にも成功した。Bbシングル奏者がダブルデスカントを望んだと同じように、フルダブルを日常的に愛用するプレイヤー達もデスカントホルンを欲した。パックスマンはこの要望にみごとに応えたわけである。

フルトリプルではF、Bb、High Fの3つの管が独立して合体しているが、パックスマンがデュアルボアで培ったノウハウがトリプルホルンにも生かされ、この楽器は近代ホルンの歴史に新たな1ページを開く画期的なものであった。パックスマンのトリプルホルン開発は他のメーカーを大いに刺激し、現在多くのメーカーがトリプルホルンをラインナップに加えるようになったことはご承知のとおり。
 
またホルン奏者の間でも、ここ数年トリプルホルンに対する評価が確実に定着し、中でも先行メーカーであるパックスマンに対する需要は年々高まっている。
 
また以上のデスカントホルンには、すべて1968年にソプラノホルン用に開発された独自のヴァルブ機構がつけられている。
 
こうした先進的な研究と開発とで、ロバートとメルウエザー(彼は設計を担当した)のコンビは、一時世界のホルン奏者の間で伝説的ともいえる名声をもった。彼らは30年間にわたり50以上もの様々なモデルを作り出している。しかし、残念ながらミアウィザーは1985年に亡くなり、その後はロバートが設計も手がけて現在に至っている。現在の新しいラインナップは、メルウエザーが亡くなった翌年の1986年に揃って発表された。いわば故ミアウィザーとロバートとの集大成とも呼べる作品群である。
オーケストラなどでの重くパワフルなサウンドから、室内楽、ソロなどでの柔らかくメロウなサウンドまで、パックスマンのホルンは多様な音色を持っている点でユニークな存在だ。イギリスというインターナショナルな環境にも恵まれたのだろうが、元来、開発心の旺盛なロバート・パックスマンの姿勢がいつもプレイヤーに向いていたからとも言えよう。
その証拠に、パックスマンはオプションが豊富なことでも知られる。

Timothy Jones

現在ではロンドンシンフォニーの首席ホルン奏者、ティモシー・ジョーンズを共同経営者に迎えています彼は、14歳のときにホルンを始め、3年後にはミュンヘン・フィルハーモニーの第2ホルン奏者に任命されました。アイファー・ジェームスとフランク・ロイドに師事。1984年、24歳の時にロンドンシンフォニーでプレーするために帰国。
バーミンガム市交響楽団やアカデミー室内管弦楽団で演奏し、 ミュンヘン・フィルハーモニーとウィーン・フィルハーモニーでは客演首席ホルンとしても活動した。
ストーリー

PAXMAN Mucical Instrumrnt Limited

ロンドンのユニオンストリートのPAXMANの工房はショールームが併設され、一流プレイヤーからホルン愛好家や、学生まで様々な人が集う。通りに面した大きな窓から、柔らかな日の光が注ぐショールムでは、PAXMANのホルンを愛する人たちが楽しそうに語り合っている。この様な、とてもアットフォームな雰囲気の中でPAXMANのホルンは生み出されている。
工房内ではロバート・パックスマンの意思を受け継いだ熟練の職人たちが、1945年の創業から変わらず日々ホルンの制作に力を注いでいる。彼らの真剣な眼差しと、ホルンの制作に向ける熱い情熱がPAXMANの美しい音色とフォルムを造り出しているということが伝わってくる。

故)ボブ・パックスマンと若かりし頃の弊社、吉田

Paxman Musical Instruments Limited
197 Long Lane, London SE1 4PD, UK
Telephone: +44 (0)20 7620 2077
ホルンセンター
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